公開日 2026.08.31 更新日 2026.09.02
ものづくり大好き 全力マンです。
新卒採用において、多くの中小企業が抱える課題の一つが「認知」です。特に、一般消費者向けの商品・サービスを持たないBtoB企業や、学生にとって仕事内容がイメージしにくい企業の場合、求人情報を出すだけでは「そもそも、発見されないかも」という壁があります。私は求人広告の制作にも携わりますが、求人広告内での設計・表現には限度があり、スルーされないよう工夫はできても、発見性についてはメディア側の機能や仕組み次第といった部分もあり、悩みは尽きません。
そんな悩みを吹き飛ばし、学生との繋がりを合理的に実現しやすいのが、「学食トレイ広告」です。今回は、実際に私が携わった「学食トレイ広告」の事例をもとに、その特徴やメリット、そして広告クリエイティブをどのように設計したのかをご紹介します。
某ハンバーガーショップのトレイを思い浮かべると、旬のメニューやクーポン情報など、PRしたい広告が載っていますよね。見ようと思わなくても、調べなくても、勝手に目に入ってくる。イメージとしてはあのようなスタイル。一般的なポスターやWeb広告のように「広告を見るために視線を向けてもらう」のではなく、学生が日常的に使うトレイそのものを広告媒体にするという発想です。
授業の合間に友人と昼食をとる。
サークルの仲間と話をする。
一人で食事をする。
このように、学食という場所は、学生の日常の中にあり、自然に広告と接触してもらえることが期待できます。学食トレイ広告を取り扱う媒体会社でも、食事を注文してから片付けるまでの時間を利用して、学生の手元に広告が届く点が特徴として紹介されています。
では、なぜ学食トレイ広告が「新卒採用」と相性がいいのでしょうか。
| ①警戒されない自然な出会い | 日常生活で触れるため、友人同士、知人同士の話題として使われやすい。クチコミ力がある。進路を勧める教員にとっての情報源にもなる。 |
|---|---|
| ②学年限定なし | 近年は、学生動向の早期化だけでなく、全学年を視野に入れた取り組みが重要視される時代になったため、1年生から4年生まで幅広い学年に接触できるのは強い。 |
| ③自動リピートによる浸透 | ポスターならその前を通り過ぎてしまえば終わり。Web広告ならスクロールして見えなくなれば終わり。トレイ広告は「一度見て終わり」ではなく、学生の日々のルーチンに組み込まれるため、自然と認知が広がる。 |
今回のクライアントは、ジャンルで分けると建築系の企業様ですが、設計事務所でも、ゼネコンでも、工事会社でも、不動産会社でもありません。
では何者かと言いますと、建築物が法律の基準に適合しているかを審査する、確認検査機関です。専門性の高い事業である一方、学生からすると仕事内容が少しイメージしにくいため、採用活動においては「エントリー」以前に、まず会社そのものを知ってもらうことが重要な課題となっていました。
また、クライアントは全国に拠点をお持ちですが、長野県の拠点では採用に苦戦していたことも、学食トレイ広告のご提案に至った理由です。
■広告展開先: 長野県内の大学
■運用期間: 2026年4月~6月
■掲載期間: 3ヶ月間
■納品数: 月250枚、合計750枚
■クリエイティブ: 月ごとに変更、計3種類を制作
企画・コンセプト設計から、クリエイティブ制作までをトータルで担当させていただいたのですが、最初は、1種のデザインで広告掲載する予定でした。しかし、いくつかの案を作成しているうちに、定期的にデザインやタッチを変えて掲載したほうが、飽きられずに、存在感を残せるのではないだろうかと思いました。
そこで、コンセプトの柱は一つに絞り、毎月少しずつテーマを変えるつもりでデザインを3種制作し、それを3パターンの案としてクライアントに提出しました。もちろん、どれが選ばれても成立することを前提としたものです。そして、企画書の最後にそっと
「※3ヶ月間、1ヶ月ごとに入稿するようなので、個人的には、すべてを試してみても良いかと思いました。」
と添えておきました。
| 【4月のテーマ】 「慣れた単語」とシンプルさで、 まず興味を持ってもらう ![]() |
「1キャッチ1ビジュアル」 を基本に、学生が普段から耳にする言葉や、直感的に意味が伝わる表現を使い、シンプルかつスピード感のある広告に。 まずは、 「何の広告だろう?」 「この会社、何をしているんだろう?」 と興味を持ってもらうことを優先した企画・デザインに。 |
|---|---|
| 【5月のテーマ】 「法」という手段を明示して、 仕事を発見してもらう ※写真・デザイン非公開 |
5月は、企業の仕事をより具体的にイメージしてもらう方向へ。 キーワードとして**「法」**を前面に出し、実際の仕事風景をイメージできる実写を使用。 「建築に関わる会社」というだけでは伝わりにくい仕事内容を、 「法律という切り口から建築を支える仕事」 として見せることで、会社だけでなく仕事の認知にも繋がる企画。 |
| 【6月のテーマ】 「法」と「審査」をエンタメ風に ※写真・デザイン非公開 |
専門的で少し堅く見えやすい仕事を、 「ミッション」 と称したエンタメ要素でイラスト化。 「法律」「審査」という言葉だけを見ると難しく感じる仕事でも、表現を変え異なる角度から情報を届ける設計に。 |
クライアントからの回答は、「じゃあご提案の通りにお願いします」というものでした。
月ごとにデザインを変更することによって、コストも増加するのですが、ご説明の上で、それでも答えは同じでした。
毎月、違う角度からクライアントの求人を知ってもらいたい。
その願いが叶った瞬間でした。本当にありがとうございます!
学食トレイ広告がどこまで影響したのか、それは測りかねますが、施策実施後、今までゼロだった対象大学の出身学生における会社説明会やインターンシップへの参加者が増加しました。
もちろん、新卒採用の成果は一つの施策だけで決まるものではありません。求人情報、インターンシップ、説明会、学校訪問、スカウトなど、さまざまな接点が積み重なって応募につながります。だからこそ、今回の学食トレイ広告についても、
「応募を直接獲得する広告」ではなく、「応募につながる前段階の接点を増やす広告」
として捉えることが重要だと考えています。
そして今回の反響もあり、クライアントでは同大学での継続展開に加えて、名古屋や九州エリアの大学での学食トレイ広告についても実施を決断されました。ありがとうございます!!
採用が難しい地域ほど、「知られること」から始める
新卒採用において、「求人を出したのに応募が来ない」という課題は、必ずしも求人情報の内容だけが原因とは限りません。
そもそも、その企業を知らない。
仕事内容を知らない。
だから、応募先の候補に入っていない。
こうした状態であれば、まず必要なのは「応募してください」と伝えることではなく、「こんな会社があります」と知ってもらうことです。
特に、地域に根差した採用を行う企業や、BtoB企業、専門性の高い企業にとっては、この「認知」の壁が大きな課題になることがあります。そんなとき、学生の日常生活の中に自然に入り込める学食トレイ広告は、一つの有効な選択肢になる。今回のお仕事で、私はそのことを強く実感いたしました。
学食トレイ広告は「認知」と「採用」をつなぐ接点
今後、いかに学生との接点を増やし、深めていけるか。そんな採用課題のトレンドに向き合うために、ぜひ皆さまもご検討されてみてはいかがでしょうか。
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株式会社KRS編集部
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